昨日みた夢でも挙げてけ

9753216f :Anonymous 2013-10-13 11:44
「ひとり以上、複数選んでもいい、選ばれた人間は死ぬ」
白い靄の中に立っていた、これは夢だな、そう思った
つづけてまたどこからか声がした、
「誰も選ばない場合、おまえが死ぬよ、さぁ選べ」
靄が晴れていくと、ぽつぽつと見えていた人影が、僕のクラスメートだと知った
真っ白な空間で、みなおもいおもいの方角を向いて蝋人形のように立っていた

選べ?この中から?なんて夢だろう質の悪い夢だ
なんてことを思っていると、夢の中の僕は勝手にしゃべりだす
「誰も選ばないよ、誰かの死を望むことなんてできない」
死ぬよおまえ、と返事が返ってくる
夢の中とはいえ何とも立派なことが言えたものだと、自分に感心する
そうか...と声が続いたあと、もうこれ以上耐えられないというように馬鹿笑いがもれる
どこかで誰かが笑い続けていた、馬鹿にされているような腹立たしい笑い声が響く

「君たちは素晴らしい、この質問は君で最後だった、皆がみな口裏を合わせたように同じ答えを出した、みんな君を選んだよ君自身もね、このクラスで死ぬのは君ひとりと言うわけだ」
また笑い声が続いたあと、そいつは地の底から湧くような濁った声でぼそりとつぶやいた
「おもしろくないんだよ、お前ひとりが死んでもな」
「わたしは天邪鬼でね、君は幸運だ、君に生きる可能性をあたえよう、ひとり以上 複数人選んでもいい、選ばれた人間は死ぬ、誰か選べ君のかわりにそいつらが死ぬ、憎いだろう?君の死を選んだクラスメートが」
夢の中にいるはずなのに意識がはっきりとしていく、夢の中の僕がしゃべりだすことはない
この質問に問われているのは自分自身なのだとおもった
「そんなに死にたいか」
いつまでも無言で立つぼくに声がかかる、と同時に頭が割れるような痛みが走る
頭を抱え込みしゃがむと額から滝のような血が流れていた
自分の鼓膜が破れそうなほどの悲鳴をあげた、眼球の奥を虫が這いずり回っているよなズキズキとした痛みが続く、それだけじゃなく体の肉の繊維が1本1本千切られていくような激痛が走る、爪や皮膚がズルズルと剥け全身が燃えているように熱い、血だまりに頭をうずめ悶えていた
痛い、死にたくない、助けてください神様

生きたいだろう?と声がする、血だまりも体の痛みも消えていた
「君は幸運だ、さぁ選べ、君はきみ以外の全員の死を選択することもできる」
ぼくは泣きながら誰も選ばないと言った、自分の受けた苦しみを誰かに味わせたくなかった
それ以上にこいつのいいように誘導されているような気がして癪だった
体に痛みが走る

「ああ、もういいよおまえ」
面倒くさそうに誰かが呟いた、もうお前に用はないと言った
ああ、言ってなかったなわたしは、と言い終わる寸前で目が覚めた
気付くと病室のベットの上、母親が泣きながら手を握っていた
事故にあって長い間ねむっていた、クラスメートの何人かが死んだ
ぼくも生死の境を彷徨っていたらしい、あの世の入口か
ぼくが作りだした不思議な夢だった
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