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c0d2eb34 :Anonymous
2009-06-11 21:12
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行く川の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。
よどみに浮ぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しく止とゞまる事なし。
世の中にある人と住家すみかと、またかくの如し。
玉敷の都の中に、棟を竝べ甍を爭へる、尊たかき卑しき人の住居すまひは、代々を經て盡きせぬものなれど、
これをまことかと尋ぬれば、昔ありし家は稀なり。
或は去年破れて今年は造り、あるは大家たいか滅びて小家せうかとなる。住む人もこれにおなじ。
處もかはらず、人も多かれど、いにしへ見し人は、二三十人が中に、僅に一人二人なり。
朝に死し、夕に生るゝならひ、たゞ水の泡にぞ似たりける。
知らず、生れ死ぬる人、何方より來りて、何方へか去る。
また知らず、假の宿り、誰がために心をなやまし、何によりてか目を悦ばしむる。
その主人あるじと住家すみかと、無常を爭ひ去るさま、いはば朝顔の露に異ならず。
或は露落ちて花殘れり。殘るといへども朝日に枯れぬ。
或は花は萎みて露なほ消えず。消えずといへどもゆふべを待つことなし。
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