アニメ

95f42096 :Anonymous 2013-08-20 04:56
本職の声優を起用しないジブリアニメの擁護をしてみる。

素人にキャラクターの声を当てさせることについてジブリアニメは批判を受けることが多いです。宮崎駿監督は素人の起用について今の声優は娼婦の声だからと揶揄していますが、自分は別の観点から素人の人を起用しているのではと考察しています。
宮崎駿監督の人物描写は相当なものです。普通人体について作為的なアニメーションをすると作画の面白さに引っ張られて人体の情緒や自然発生的な雰囲気というのが損なわれます。極端になると金田伊功やカートゥーンのように物体の面白おかしなギミックという表現に置換されてしまう。
しかし宮崎監督の場合作画的な面白さはあるがちゃんと人間の感情的な動作として還元することができる。コナンの走り方や飯を食う時のダイナミックな動きなどの面白さもあるが、それでいてナウシカの怒りやメイの泣く表現などちゃんと感情的な人間の動きも担保されている。これは宮崎監督の絵の巧さと人並み外れた観察眼による賜物だと思います。

そんな宮崎監督による作画では声を当てていない状態でも既にそれなりの表現が出来上がってしまっている。その作画にプロの声優の声を当てると冗長な表現になってしまい、作画の細かなニュアンスを掬い取るはめになりせっかくの完成度が落ちてしまう、と思うのです。
となりのトトロのメイやサツキのアニメーションは実に子供的で魅力的だったのだけど、プロの声優の演技によりキャラクターの感情というものが手に取るようにわかってしまった。それはインスタントな感覚でコチラからの考察や言外の表現というものを一方的に受け付けない、渡された表現以上のものを喚起できない状態だと自分は感じました。宮崎監督もそれをわかっていて、自分の作画をフルに活かすためにプロの声優を起用しなくなったのではと思うのです。

素人の声優は宮崎監督の作画においてはマイナスの要素です。下手くそな演技で現実に戻され全くキャラたちに共感できない、しかしその代わり作画の表現のキャパシティを得ることができる。フルに作画のエンジンを起動させても冗長な表現になることはなく、言外の表現にまで挑むことができる。素人の起用はそんな宮崎監督の戦略だと思うのです。
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