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9e6e755b :Anonymous 2010-02-05 22:49

量子論のボームが取り組んでいたレオモードのことが思い起こされます。
彼はクリシュナムルティーとの対話に触発されてか、人間の世界認識の分断化がもたらす
破壊的影響を憂えていた人の一人でもありました。
ボームは言語の「主語-述語-目的語」の支配がおこす思考の断片化に注意を促す目的で
独自の言語様態を模索していました。
というのも、人間の思考は言語によって誤認識を起こしたり、
縛られてしまうことがあるからだと考えていたからです。
ポイントは、思考や認識が言語構造によって、影響を受けてしまうという、
人間の無自覚の、よくある傾向への対処への試みを彼が一つの挑戦として
行おうとしていたということです。

彼の理論的見解では、世界は流動的で分割不可能な全体として運動しているのに、
通常の様式の言語はそれを反映してない(少なくとも量子論では)と見ていたからです。

これはある点ではサピア-ウォーフの仮説の量子物理学者ヴァージョンとも
云えるでしょう。
しかしその射程は、世界の分断化、つまり言語構造に由来する(と彼が看做した)
思考の分断化を避けるための、彼なりの壮大な試みの始まりだったと言えます。

その観点から「思考や認識そのものは、言語に依存しない」という見解には注意が
必要な気がします。
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