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4c8a3745 :Anonymous 2022-09-09 05:53
LRHは1981年後半(脳卒中を患う直前)において、哲学的および技術的な多くのトピックに関する彼の個人的な見解(アドバイス)を口頭で口述する習慣があった。これらのBulletin(会報)は、LRHがオフラインであるのでは?あるいは無能力である可能性さえあるのでは?というパブリックの疑念を払拭するために、RTCによって年間を通して均等にリリースされた。それは、LRHの名前で定期的に「新しい速報」を発行することにより、サイエントロジー教会の単なるコンサルタント(顧問)に過ぎなくなった彼が、今でも「教会を完全に支配している」のだという幻想をパブリックに抱かせるための経営上の戦略でもあった。

1982年を通じてL・ロン・ハバードの名前で発行された一連の「哲学会報」の中で、後世に最も物議を醸したものは「Pain and Sex(痛みとセックス)」と題された文章である。

この会報は、「Pain and Sex(痛みとセックス)」は、フロイトから工場の心理学者に至るまで、誰もが犯罪者と対等な立場にあるとラベリングすることから始まる。次に、セックスは完全に人工的な概念であり、ビーイング(セイタン)に固有のものではなく、したがって、宇宙全体をコントロールし、人口を征服するための“悪意のある生き物”による邪悪で精巧な計画の結果であると述べている。 それは、通常の性的活動におけるわずかな耽溺が必然的にあらゆる存在の恵みからの堕落をもたらすことを直接暗示することによって終わっている。

この会報が物議を醸す内容である理由は、この文章は、反出生主義というアウトエシックス即ち反生存的選択を助長するものであるからである。サイエントロジーは一貫して、生存というゲームを通じてOTとしての超生存(即ち“存在するセイタン”)を目指す道筋を提示してきた。しかし、この文章はヒンドゥー教あるいはジャイナ教的な無気力的反生存という奈落の落とし穴(トラップ)への道筋を誘引しているように見える。

あるビーイング(セイタン)にとって実際に何が本来備わっているのかを自問することができる。サイエントロジーの公理によると、自分自身のポスチュレートされた存在以外のビーイングの固有の属性は、彼自身の視点と、自己決定、新しい視点、およびポスチュレートを形成する能力である。それ以外はアドオン(付け足されたもの:メカニクス)だ。人間を精神的な存在として受け入れるサイエントロジストにとって、セックスは明らかに身体的な属性であり、明らかなアドオンである。ゆえに、誰かの性別に関連する性的特徴と性的衝動は、精神的な要因ではなく、主に文化的要因と生物学的要因の両方の産物なのである。したがって、この会報の文章を読むまでもなく、その30年前に発行されたサイエントロジーの公理からの単純な推論(帰結)によると、セックスは明らかにビーイング(セイタン)に固有の属性ではない。

そもそも、セイタンの実在性とMEST(のリアリティ)の非実在性を前提とするサイエントロジーの教義において、肉体的性別がセイタン本来の性質や特性に基づくものでなく、純粋な肉体的属性であるということは自明の結論であるし、セックスがセイタンの美的感覚の模造品(劣化版)であることは、LRH自身が1950年代から言及していた。

仮に、セックスが「劣化のツール」であったとしても、それがホモ・サピエンスとしての生殖行為がアウトエシックス即ち反生存的であるという結論にはならない。なぜなら、OTの極みを目指すためには、肉体は必要不可欠だからである。必要悪の範疇ですらない。我々、大多数のホモサピエンスは肉体を持たなければ、生存はおろか知覚さえも満足にできないのだ。

まず、この会報の問題は前後の文脈が存在せず、ピンポイントでピックアップされた文章であるということである。この会報に限らず、公開されたLRH晩年のアドバイス(哲学的散文)は、LRH晩年の大量のアドバイスの一部を、教会が選択的にピックアップしたもの(恐らく改竄や捏造を含む)に過ぎない。そもそも、LRHの研究調査ノートやメモ類のみならず、HCOBやHCOPLでさえ、大量の手書きの未発行の文章(機密レベル含む)が、教会の記録保管庫に今なお眠っているのである。

加えて、アルフレッド・コージブスキーの言う「(成立)過程」及び「コミュケーション」のデータが完全に欠落している。サイエントロジーの論理に拠れば、データの誤りは三種類あり、そのどれもが誤った判定を導く。①データの欠如、②偽りのデータの插入、③誤ったデータの重要性(位置付け)の評価。過程とコミュケーションのデータが欠落している以上、この三つの全てが当てはまる。

「“Pain and Sex”(痛みとセックス)」は、

1)その文脈上の意図や位置付けが不明である。

2)根拠が示されていない。

3)改竄あるいは捏造の可能性が存在する。

という意味で、論理的には全く価値のない文章であると言える。


セックスは単なる「人工的波長」であるため、必然的にセイタンの劣化のツールであるという主張は、何の根拠も説明的事実もなしに、この会報「Pain and Sex(痛みとセックス)」で与えられている。LRH自身は、少なくとも1979年までは、セックスは存在の主要なダイナミクスの1つであると常に主張してきた。サイエントロジーのベーシックなデータの1つに対して、説明なしにそのような重大な修正を行うことは、全く良心的ではないだろう。それは、混乱とそれに続く偏った解釈への道を開くだけである。

この会報は、後に教会が 1991年に行った第2のダイナミックの定義の改訂の真の背景にあるものだ。LRHが署名した会報「Pain and Sex(痛みとセックス)」を完全に理解している人なら誰でも、以前の(LRHがサイエントロジーの主題に捧げた人生のほとんどの時間を通して有効であったはずの)第2のダイナミックの定義を修正しなければ、明らかにそれが無効になることをはっきりと理解できるだろう。第2のダイナミックは、「聖典」のマテリアル全てで改訂され、セックスが削除され、「創造性」に置き換えられた。これは、事実上の第2のダイナミックのキャンセルでありながら、“置き換え”の形式が採られた。

現在のサイエントロジー教会には、以下のような、一つの上位のデータ(データを扱うためのデータ)が導入されている。これは、アービトラリーである。

「最新のアドバイスは、常に古い方針を無効にする(だけの効力がある)。しかし、その最新のアドバイスの由来(経緯)と根拠は示されない。」

現在、サイエントロジー教会の経営陣は、LRHの晩年の哲学的散文を、たとえ文脈から全く切り離されていたとしても、これまで以上に純粋な福音であると看做し、それが、実行可能な唯一の解決策であることを要求している。

1960年代と1970年代のサイエントロジーの真の黄金時代の背後にある原因と、1980年代以降のその後の衰退の根底にある原因を技術的に説明する重要な要素は、分析的な心の構造と反応的な心の構造を区別する同じものである。前者 (サイエントロジーの真の黄金時代と分析的精神) は、理性、差別化、および複雑なデータの組み合わせの創造的な統合に基づいている。後者は、あらかじめ設定された行動 (刺激反応または教化による)、単純化された関連付け (A=A)、およびデータの文字どおりの解釈から得られないものは何でも禁止することによって特徴付けられる。

1980 年代を通して発行された、「アドバイス」の巻の残りの大部分はおそらく決して広く出版されることはないだろう。だが、これらのアドバイスは現在、教会のシーオーグメンバーの精鋭である上級管理職によって長期的に公表され、実行可能な方針に取って代わるものと見なされている。

シーオーグ内で使用されている、恐らく何千にも登るであろう未公開のアドバイスの類は、そのほとんどはかなり短い文章である上に、多くの場合、明確な文脈や適用の領域が提示されていない。そこにあるものは、文脈から切り離された創設者(教祖)の哲学的散文を盲目的に「絶対的な真実」として認識することを要求する教条主義(≠原理主義)と狂信的偏執である。

教条主義と原理主義は別物である。ムスリムの過激派が原理主義の代名詞となった今日では、原理主義という概念が全く誤解されている。原理主義は、元々の主題が合理的で理性的である限り、その主題の純粋な原理原則に基づく適用は、合理性と理性及び能力の向上を保証するものである。一方、教条主義は、合理的で理性的でない主題は言うまでもなく、合理的で理性的な主題をも破壊する。現在の教会の指導者たちは、LRHの仕事と遺産をほとんどを破壊し、彼らの使命の正反対のものを効果的に達成している。

1981年半ばまでに、ACU(オール・クリアー・ユニット)は、隠遁者であるLRHが外部の世界と接触するためのコミュケーション・ラインを独占した。ACUの責任者は何を隠そうデビッド・ミスキャベッジであった。つまり、LRHのアドバイスのCompile(編集)の責任者は彼である。したがって、LRHの晩年の疑わしい著作の多くは、少なくとも、コミュケーションライン上のインテリジェンスの逸脱や偏向の存在、場合によっては ACUの捏造に起因するものと直接推測できる。変更されたデータの正確な性質とその程度、およびその結果としてLRHからのどのコミュケーションラインが汚染されたかを客観的に証明することは、おそらく半永久的に不可能なままだろう。

これは、実際には多くの異なるセットに属するピースから単一のジグソーパズルを構築しようとするため、教会が近年において進化させてきた「奇妙な技術」の原因を説明している。

この雪崩のようなLRH晩年のアドバイスは、決して広く発行されたことはないのだが、教会のシーオーグメンバー精鋭の上級管理職が日々の業務を遂行するために日常的にアクセス可能なものである。しかし、上級管理職を除いて、それらのデータにアクセスできる人はほとんどいない。ほとんどのサイエントロジストは、それらが現在の教会の行動の完全な基礎と理論的根拠を形成しているにもかかわらず、それらが存在することさえ認識していないのである。

混沌とし た相反するアドバイスや具体的でないアドバイス(大部分は、参照する文脈なしに文字通りに解釈される)の中でガイダンスを必死に探求する中で、教会の指導者は常にタイムトラックのチェーン上で「最新の」順序を見付けだすことに偏執 している。より以前のデータがどれほど基本的または基本的であっても、最新のデータは、以前に発行されたものをすべてキャンセルしてしまうのである。

それらの知識と技術の喪失は、サイエントロジーが実際には非常に複雑な知識体系であり、その多数の構成要素を統合することによってのみ完全に理解できるという認識の欠如によって生じている。

すべてを説明する「魔法の引用」を求めるこの傾向は、狂信者の典型的な属性である。これは、多くのサイエントロジストや元サイエントロジストの間でさえも頻繁に見られます。それは、しばしば主題の誤用につながり、最悪の場合は過激的な教条主義につながるだろう。

今日の社会における、そのような過激主義のいくつかの明白な例は、中絶手術者または同性愛者の暗殺を正当化する聖書のお気に入りの引用を見つける一握りのキリスト教徒の中に見出される。

後の未発表の著作を解釈する際に、論理的な道筋をたどるとすれば、LRHがその時々の必要性を満たすために、核となる方針を継続的に修正するほど頻繁に間違っていたとしたならば、LRHはサイエントロジーにおいて「ステータブル・データム(基となるデータ)」の地位を失うだろう。

どうやら、LRHから支配権を簒奪した教会の相続人達は、論理と理性をまったく知らなかったようである。現在の教会の指導者は年を追うごとに、過激的な教条主義のレベルを上げ、“信者”による盲目的な服従の要求を増やしているのが現状である。

現在の教会管理者によって使用されている誤った論理の実際の根源は、彼がこれまでに発表したあらゆる分野における、LRH(より精確には教会が編集し公開したLRHの文献)の無謬性に対する彼らの狂信的な信念である。それは、サイエントロジーの教義や技術的な問題だけでなく、また、方針(ポリシー)やローカルの役員指令だけでなく、健康と栄養から数学とコンピューターサイエンスまでに及ぶ。録音された会議や出版された著作におけるLRHの発言が、事実やその後の「アドバイス」と相容れないことが判明した場合はいつでも、『1984』(ジョージ・オーウェル)の「真実省」が使用したものとほぼ同じ方法で、経営陣によって密かに編集され再発行さるのである。

確かに、セックス(生殖)も捕食も、タイムトラックを遡れば、そのように設計即ちプログラムされたものであることは確かであるが、セックスが単にセイタンの美的波長を模した人工的な波長であることを認めたとしても、それが自動的に倒錯や奴隷制のためだけに作られたツールになる理由については、まだ何の説明にもなっていない。私たちの社会の多くの人為的な側面は、「創造的または破壊的である」ことが証明されており、その結果は、それらが人工的に作成されたか自然に作成されたかではなく、それらが適用された方法に基づいて善または悪になる。

そうでなければ、そのような推論は、テクノロジーと現代文明の両方が悪の産物であり、自然に戻り、王権神授説によって自己任命されたエリートによって指示された一連の柔軟性のない規則を厳守する必要があるという避けられない結論につながる。それは、中世暗黒時代のローマ・カトリック教会や現代のムスリムのタリバンあるいはISISが支配するタイプの社会であろう。

性への偏執という宗教的狂信は、マニ教や中世のキリスト教の特徴であった。また、ジャイナ教やヒンドゥー教あるいは密教(タントラ仏教)の一部の特徴でもある。LRH自身の調査研究によると、キリスト教のほとんどは「インプラント」の結果である。セックスをこの地球上の悪の産物と見なす信念あるいは性的タブーの研究は、それぞれの根源が宗教的信念に深く根ざしていることを示してる。

実際、「Pain and Sex(痛みとセックス)」という会報を少しだけ改変し、「Psychs(心理学)」を「Satan(悪魔)」に置き換えると、暗黒時代を通じて教えられてきたキリスト教の教義と完全に一致するものを見つけることができる。したがって、あたかも致命的な罪があるかのようにあらゆる性的行為を分類する考えの背後には、誤った記憶 (これはインプラントの内容を説明する最も簡単な方法である) がある可能性が非常に高いと言える。

教会が、LRH晩年のオリジナルの教えを、独立した偏見のない第三者による研究に自由に利用できるように全面公開するのでもない限り、それらの「偽りの記憶」がLRH自身のものだったのか、それともLRHの名を語る別の誰かによって引き起こされた改竄あるいは捏造だったのかの評価は、永遠に憶測の域を出ないだろう。

これは単に、サイエントロジーの論理とその核となる基礎との整合性が、サイエントロジーを理解するための唯一の真のガイドであることを示しているにすぎない。

これらの原則(「文脈外のアドバイスは、論理に基づく主題の徹底的な理解を前提に評価されなくてはならない」)が守られなければ、何年にもわたるハードワークと応用研究を通じて、サイエントロジーのテクノロジーの完全かつ正直な理解を真に習得した人への報酬は灰燼に帰すだろう。

この一つの晩年の会報を元に、突如、それ以前のサイエントロジーの文献(マテリアル)が全て改定された。根本原則が否定されてしまったに等しい暴挙である。晩年のLRHの(ものとされる)一つの哲学的散文によって、何十年もその効果が実証済みのデータ、しかも最も基本的な(ベーシックな)データが全ての文献においてキャンセルされるという狂気が生じた。

この一連のプロセスは、文脈の全く異なる、混沌とした相反する晩年のLRHのアドバイスの山を同列の重要性(最重要の等級)で扱い、そのなかのたった一つのアドバイスを以て、複雑なジグソーパズルの全体を「新しいアイデア」によって強引に組み立てようとすることは全く不合理な取り組みであり、これこそ反応心(バンク)の同一性思考の為せる技に他ならない。サイエントロジーの黄金期(60年代と70年代)と80年代以降の停滞は、分析心に基づいてデータを適用したか、反応心(ロンズオーグのような根拠もなく検証もされていない霊的啓示を含む)に基づいてデータを適用したかの違いである。

これは、どんなに基本的なデータであっても、また、どんなに効果の実証済みのデータ(あるいはテック)であっても、「新しいデータは古いデータをキャンセルする効力を有する」というアービトラリーに基づく大原則(上位のデータ)が教会には存在するからである。そして、その延長線上に、古いLRHのデータは新しいミスキャベッジによってキャンセルされる。その成れの果てが、今日のサイエントロジー教会である。
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