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1f8b3ddd :Anonymous
2023-02-04 23:09
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>>cca165b4
やはり、オールド・タイマー氏は、肝心要の欠陥に対しては、全くお答えにならない。私はマルクス主義及びマルクス経済学のロジックと縁が深いので、オールド・タイマー氏が広く薄い知識をまくし立てても全く痛くも痒くもない。
『ゴータ綱領批判』は社会福祉ではなく社会主義そして共産主義を展望するための著作だし、マルクスの「労働証書」は資本すなわち企業に雇用された賃労働(労働力の商品化)の廃止が目的である。そのために、資本≒企業という枠組みを解体し、アソシエーションに基づく連合労働に置き換えることで、私有物である資本を純粋な社会的生産手段へと変える。そして、市場メカニズムというブラックボックスと通貨(信用貨幣)を廃して、社会的計画生産と労働(時間)に基づく分配を実現する。これがマルクスの考えた(設計した)共産主義の前段階である社会主義社会の構想である。資本と賃労働を前提とした“タイムカード”が「労働証書」であるなど、噴飯物の珍説である。
マルクスの分配論には、二重の解決(実装)不能な命題が存在する。それは、搾取が廃止された社会主義社会においては、①いかなる基準で公平な報酬(※賃金とは言わない)を与えるか、②いかなる基準で商品/サービス(マルクス主義の用語では消費手段)の価値(※価格とは言わない)を定めるか、の二点である。
上記の二点を“市場を介在させずに”実装するのは、理論上も実装上も不可能である。特に、労働価値説に基づく正しい商品価値(資本主義経済では価格)の設定は至難の技だ。何故なら、最終消費財を生産するための生産手段を含む生産財あるいは消費財にも(過去)労働の価値が含まれているので、無限後退に陥るからである。
マルクスの云う社会主義による分配を実現するには、“個々の”消費手段(消費財)を労働時間で表現しなくてはならない。それこそが価値規定の意味だ。当然、個々の消費財には無数の労働が介在している。さらには、個々の消費財は、無数のパーツから構成されている。個々の消費財に関して、“精確に”労働時間で表現することができなければ、分配の問題は解けない。
マルクスの社会主義を実現するには、それを通貨(信用貨幣)と市場のメカニズムを介在させずに「労働証書」によって、かつ社会的計画生産によって実現しなければならない。それは、理論上も現実上の実装も不可能だ。
この解決不可能な分配問題(分配計算)という理論上の欠陥を、ソ連のマルクス経済学では、産業関連表や物材バランス(バランス評価)を使って解こうとしたが、当然のことながら失敗に終わった。
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