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3ce243af :Old Timer i1b5ibip3kS 2016-05-17 10:56
>>42b13561

最近の俺の関心ごとは、分析心と反応心の中間のような性質を持つ心的機械だ。
これを仮に"複写心"と呼ぶことにする。複写心は表情の読み取り、共感、様々な
技能の習得に深く関係している。

平均的な人において、母国語の習得の大部分は複写心によって自動化される。複
写心の働きが弱いと、母国語の会話での聴別や発音にも苦労する。俺の複写心は
極めて弱いので、日本語の聴き取りの練習を意識的に行わなければならなかった。
"騎士"と"記事"の/キ/の発音の違いなどを、俺は意識的に覚えた。その代わり、
外国語を話すときに日本語の癖をほとんど持ち込まずに済んでいる。相手が言う
ことを聴き取れないことはあるけれど、自分が言うことは、英語でもフランス語
でも、最近始めた中国語でも、相手に必ず伝わる。

俺の知り合いで、母国語と大きく異なる外国語を高水準で操る人には、複写心の
働きが弱い人が多い。こういう人は、語学そのもの以外に、コミュニケーション
に強い関心を寄せ、それに関して様々な書籍を読んだり、訓練を積んでいたりす
る。

複写心は一人でいると働きが弱くなる。普通の人が山に一人で籠ると複写心が徐々
に停止し、いつもは見えなかったものが見えるようになったりする。これが悟り
とかなり関係がありそうだ。一方、複写心の働きがもともと弱い人は、集団の中
にいると、何らかのきっかけで複写心が活性化することがある。この時、やはり、
いつもは見えなかったものが見えるようになったりする。殴り合いの喧嘩が一瞬
で和解したり、改憲派を護憲派に転向したり、二十歳のフランス人女性が懐いて
きたり……複写心が活動中の俺の周りでは奇妙なことがいろいろ起こる。そして、
これを怖いことだとおも思う。テロリストを量産しているのも複写心に違いない。
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