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1ff51065 :Old Timer i1b5ibip3kS 2015-01-20 07:46
菜園では、魂は完全に非物質的であるとされている。つまり、魂は物理的な大き
さを持たない。そして、これはとても重要なことだが、魂は互いを見ることがで
きない。だからこそ、見えるように、テレパシーなど発したり、肉体に宿ったり
する。

だから、菜園人がしばしば言及する、魂の大きさというのは、魂の能力の総量を
意味する。だが、能力の総量を計ることはできない。

まず、小さな魂が大きな魂のように振る舞い続けることはできないが、逆は簡単
だ。そして、どんな問題も解決できる魂は、多くの問題を放置されていても、全
然気にしない。

そなたが不老長寿で物質交換型テレポート能力を有していたら、社会的な成功は
ほとんど無意味になる。最大級の魂は業績などからは見つからない。

あるいは、もっと低い水準の、例えば、永久に勝率100%の機械的な投資法があっ
たとしたら、それを知る人物は一般社会の発想においてもうあまり裕福である必
要すらない。なぜならば、金融市場そのものがその人物の財布なのだから。

で、ここでまぁ、しかし、キリストは大きな魂であったような気はする。ユダヤ
教の最高権威が「裁き人」と呼ばれた時代に、彼は「人を裁くな」と説いている。
キリストこそが最初の政教分離者なのだが、あまりに時代を超越していたため、
先進社会の知的な半数にすら理解されるのに1800年くらいの年月が必要だった。

そして、キリストと同じくらい大きかった魂として、俺はカール・マルクスを挙
げる。マルクスは成果主義と直接再配分を説いたという点で、ミルトン・フリー
ドマンを160年くらい先取りしているが、そして、多くの国の自称マルクス主義
者が成果主義と直接再配分を嫌い、時給と雇用の安定に固執している。また、マ
ルクスは資本主義による世界統合の後でのみ社会主義の実践が可能になると説き、
実際、ソ連は崩壊し、中国は資本主義化し、そして、グローバリゼーションと呼
ばれる世界統合が進んでいる。我々はまだマルクスの掌を一歩も出ていないのだ。

ところで、吸血コウモリは三日間血を吸わなければ死ぬ。だから、血を吸うこと
に失敗したら、たいてい、友から血を分けてもらって生き延びる。ハイエナの個
体が怪我をして、もう二度と狩りができなくなったら、友がその個体に餌を分け
与え、死ぬまで世話をする。哺乳類の多くは友を持ち、そして、友を持つことで
喜びを感じるように進化してきた。長い歴史の大部分において、人間の個体にも
友人がいたが、最近の人間にはもう友人がいない。吸血コウモリやハイエナの水
準での友人はいなくて、むしろ知人がいるのだ。友人関係を基盤としていた社会
の中間共同体は、少なくとも先進国ではほとんど崩壊し、公共や有料のサービス
に置き換えられている。もしも――あくまでもしもであるが――イスラム教の預
言者ムハンマドが、交易者として、知人が増えるのに友人が増えない経験から、
人類が友人を持たない生き物になっていくことを危惧し、イスラム教を創設した
のだとしたら、ムハンマドは魂の大きさにおいてキリストに比肩することになろ
う。

要するに、大きい魂が考えることを、小さい魂が理解するのは難しい。だから、
俺は魂の大きさを推定することにあまり熱心ではない。俺には時代を同じくする
大きい奴のことなんてわかりっこないのだ。
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